日本ユニセフ協会と国際連合児童基金

ユニセフ

日本ユニセフ協会とは?

日本ユニセフ協会は1950年に発足していて、現在の公益財団法人化したのは2011年のことです。
この団体は、ニューヨークにある国際連合児童基金の支部というより、支援を支える日本の一組織として位置付けられています。

元々は戦後に支援を受けていた日本が、支援を行う立場になったのが発足の切っ掛けです。
名前を使って広報活動を行っているので、正式な支部組織だと誤解されがちですが、実は全く別の組織というわけです。

(参考)
日本ユニセフ協会との協力関係

また東京にある国際連合児童基金の支部は、正式には東京事務所であって、発展途上国に置かれるような支部とは異なり本部扱いです。
つまり、国際連合児童基金の東京事務所は、世界的に子供の支援を行う活動を担う重要な役割を持っています。

国際連合児童基金は各国の政府との交渉も行っていて、東京事務所は日本政府と交渉を行う窓口でもあります。
ただ日本ユニセフ協会も国際連合児童基金と全く無関係というわけではなく、SNSアカウントの管理と運営や、一般向けの啓発活動などは共同です。

前者の主な活動内容は、街頭での活動や募金箱の設置、ダイレクトメールを使った募金事業やグリーティングカードの販売などです。
日本では飢餓に苦しむ子供の人権擁護に、開発途上国の人権状況の把握や、国際協力の啓発活動も行っています。

児童買春を禁止する支援活動もしているので、日本ユニセフ協会の活動は国際連合児童基金に準じているものの、独自性を見せています。
国内では、寄附金の使途が多岐にわたっていることから、無駄なく使われているのかといった指摘があります。

収支報告は毎年行われておりブラックボックスではない

収支報告は毎年行われていますし、内訳も詳細に公表されているので、運営の実態が分からないブラックボックスではないです。

国際連合児童基金の活動では、費用を本部が負担することになっていますが、日本ユニセフ協会は独立した組織なので、独自に会計や予算配分をしています。

このような違いがあるので一概に比較は行えませんが、公開されている使途の内訳から、少なくとも運営費の割合が大きい印象を与えるでしょう。
更に、日本では国際連合児童基金の東京事務所と2つの窓口がある形なので、比較されて余計に非難を浴びる結果に繋がります。

寄附金が100%困っている子供の元に届かないことも、寄附をする人が後者の窓口を選ぶ要因になっています。
国際連合児童基金本部への寄附金は、収入に対する約8割程度に留まるので、運営費が大き過ぎるのではないかと疑われているわけです。

寄附をする人の感情としては、なるべく100%に近い金額の支援を行いたいものなので、収支が報告されているとしても納得できるとはいえないです。

子供を助ける活動は立派ですが、お金の使い方がこのような形ですから、寄附の際にはどのように使われるかを把握した上で、送金する相手を選ぶことが大切です。

国連

世界的な活動を行っている国際連合児童基金

一方で、世界的な活動を行っている国際連合児童基金は、国連の補助機関として1946年に誕生しています。

ニューヨークの国際連合児童基金本部を始め、スイスのジュネーヴにあるヨーロッパ事務所や、デンマークコペンハーゲンの物資供給センターが活動を支えます。

本部の執行理事会は全36カ国の政府代表で構成されていて、国連の経済社会理事会で選ばれた人が3年の任期を務めます。
ヨーロッパ事務所の役割は、ヨーロッパ各国にある国内委員会との交渉です。

物資供給センターでは、物資の買い付けや保管に加えて発送などの業務を担います。
車両に機材や食料の他、ワクチンを取り扱う大型の施設なども有します。

活動方針を決めているのは、世界中から情報が集まり分析を行っている、イタリアフィレンツェのイノチェンティ研究所です。
情報収集や分析はここで行われていているので、国際連合児童基金の頭脳的な役割を持っています。

業務に必要な情報は全てイノチェンティ研究所に集まりますから、物資供給センターとはまた違った重要性があります。

ユニセフ東京事務所の仕事は多義にわたる

渋谷区にある東京事務所も、これらの施設と同等の大切な役割を与えられています。
東京事務所は韓国代表の窓口も兼任していて、事務所内には日本と韓国の兼任代表執務室が置かれます。

主要業務は日韓政府からの資金調達が中心ですが、教育改善や社会開発など、多分野でODAとの連携も行っています。

研究機関や学術団体の支援もしていますし、NGOとパートナーシップを持って、プロジェクトの計画や実行にも関わります。
セミナー及びワークショップによる啓発もしているので、ユニセフ東京事務所の仕事は本当に沢山です。

現地状況の調査や国と地域別の援助計画、予算分配などを行う各地の現地事務所とは異なり、東京事務所はより上位に位置する組織です。
このように日本ユニセフ協会と国際連合児童基金は役割が違い、業務の範囲も幅広さも異なるので、役割の差を理解することが肝心です。

寄附者には、寄附を決めたり金額や相手を選ぶ権利が備わるので、何気なくではなく良く考えて選択する必要があるでしょう。